飯島耕一「ゴヤのファースト・ネームは」

   飯島耕一は、1953年、第一詩集『他人の空』を刊行し、戦後世代の叙情性をうたう詩人として世に出た。これは戦後詩の象徴的な作品とも言われる。  その後も詩作のほか評論や小説など幅広く執筆活動を行っ…

雪の降る街

 雪が降り積もる夜を眠り続け、朝になって窓の外を見た。  どこか頼りない、弱々しい美しさが目に映った。  白く様変わりした、黒い土と、本来陰鬱な田舎の家々のその屋根。  それは、白い空を背景に持った雲…

M・フーコー「汚辱に塗れた人々の生」

「茶番・取るに足らない詳細・無名性・栄誉無き日常・共同生活といった、これらすべてのことが、言われうるし、言われなければならず、望むらくは書かれうるし、書かれなければならない。(中略)誕生したのは、従っ…

ロラン・バルト「省察」

私はきのう書いたことをきょう読み直す、印象は悪い。それは気持ちが悪い。腐りやすい食物のように、一日経つごとに、変質し、傷み、まずくなる。わざとらしい《誠実さ》、芸術的に凡庸な《率直さ》に気づき、意気阻…

加藤周一「日本文学史序説」

日本語の文学的散文を操って比類を絶するのは石川淳である。その漢文くずし短文は、語彙の豊かさにおいて、語法の気品において、また内容の緊密さにおいて、荷風を抜きほとんど鴎外の塁に迫る。・・・・・・荷風以後…

谷川俊太郎 「世間知ラズ」 

「私はただかっこいい言葉の蝶々を追っかけただけの  世間知らずの子ども  その三つ児の魂は  人を傷つけたことも気づかぬほど無邪気なまま  百へとむかう  詩は  滑稽だ」   谷川俊太郎 「世間知ラ…

障害当事者が小説を書くということ

つねづね、障害があろうがなかろうが、自分の認識は自分のものだと言い張りたいと思ってきたが、それは本当にそうだっただろうか。  (小説にするつもりの文章などを)いざ書き始めるとすぐに「マイノリティ」の視…

フラッシュバック

実は数日前から調子が悪い。 色々フラッシュバックしてしまう。 麗しい父と子のドラマを観たり、本を読んだりしたのがいけなかったかな。 気をつけよう。 他人が何かの意図の元に作り出した麗しさより、 例えば…

歴史

 自分が歴史の末尾に在る者だ、という意識に憑かれている。  僕は自分にはどんな円環もない、と感じている。  つまり、この一回限りの生だけが自分のものだというふうに思っている。  一回限りの痛み、悲しみ…