「批評家失格」
小林秀雄は『批評家失格』の中の「近頃感想」の中で次のように書いている。 「嘘をつくからいけないのだ。己を語ろうとしないからいけないのだ。 借りもので喋っているから種切れになるのである。 身についた言葉だけ喋っていれば、 …
小林秀雄は『批評家失格』の中の「近頃感想」の中で次のように書いている。 「嘘をつくからいけないのだ。己を語ろうとしないからいけないのだ。 借りもので喋っているから種切れになるのである。 身についた言葉だけ喋っていれば、 …
井伏鱒二の「太宰治」(中公文庫)を読んだ。 本書は、太宰治の師匠であった井伏鱒二が、二十年ちかくにわたる交遊の思い出を綴ったものである。 自分で書く言葉が、自分自身にとってヨソヨソシク感じられて困って …
『太宰よ! 45人の追悼文集 さよならの言葉にかえて』(河出書房新社編集部編)を読んだ。 その中に、平林たい子の「脆弱な花」という太宰への追悼文が収められている。 その中で平林は太宰の小説について次のように語る。 …
「アゴタ・クリストフ自伝 文盲 L’Analphabete」(訳・堀茂樹 白水社)を読んだ。 アゴタ・クリストフは、一九八六年に出版された「悪童日記」およびその続編「ふたりの証拠」、「第三の嘘」の作者である …
この記事は多分、一冊の本についてその感想を書いたり、況してや書評を書いたりするような意味での「レヴュー」にはならないと思う。 私は、最近、石川淳の「焼跡のイエス」「処女懐胎」などの短編をいくつか読んだ。 (なぜそれ …
石川淳(1899〜1987)は1935年、処女作「佳人」を発表し、1937年「普賢」により芥川賞を受けた。 さらに第二次世界大戦後(1945〜)も、1946年に「焼跡のイエス」1948年に「処女懐胎」1949年「最後の …
「いっさいの書かれたもののうち、わたしはただ、血をもって書かれたもののみを愛する。 血をもって書け。 そうすればお前は、血が精神だということを理解するだろう。」 ニーチェの『ツァラトゥストラかく語りき』には上記の記述 …