「君が異端だった頃」島田雅彦

「君が異端だった頃」島田雅彦

「異端」とは何だろうか?

「正当」の囲いの外に弾かれたものが「異端」なのだろうか。

 だとするなら、「君」は「正当」ならぬ「異端」の存在ということか。(「だった」ということなのでそれは過去のこと、ではあるのだが。そして/であるならば今は「君」は「異端」ではないのだろうか)

 

 まだ「文壇」があったころ、なんていう言い方を見かけるが、それを実際に見た人なんていない。

 あったのはただ、人と人の関係性だろう。

 それはさておき、第四章「文豪列伝」が最も興味深く読んだ。

 中でも最終項「青春の終焉」で語られる中上健次への思いは、胸をつく。

 その他にも、「君」こと島田雅彦と、大岡昇平や埴谷雄高や大江健三郎などの、昭和から平成、現在までの作家たちとのエピソードが綴られている。