「思い出の珊瑚」
中井久夫の『徴候・記憶・外傷』所収「発達的記憶論−外傷性記憶の位置づけを考えつつ」エピグラフより引用。 海の神秘は浜で忘れられ、 深みの暗さは泡の中で忘れられる。 だが、思い出の珊瑚はにわかに紫の火花を放つ …
中井久夫の『徴候・記憶・外傷』所収「発達的記憶論−外傷性記憶の位置づけを考えつつ」エピグラフより引用。 海の神秘は浜で忘れられ、 深みの暗さは泡の中で忘れられる。 だが、思い出の珊瑚はにわかに紫の火花を放つ …
ニーチェはとても「真っ当」だね。 これからもたまに読み返すことにしよう。 ああ、これはほんとうにそうだな、と思った箇所を引用しておく。 若いたましいが、「これまでお前が本当に愛してきたのは何 …
散文は我々を解放する。 それは詩でも、雄弁でも、音楽でもない。 中断された歩み、後戻り、 突然の強い調子が、再読と熟考を命ずることからも感じられるやうに。 散文は時間から解き放たれてをり、型どほりの議論からも自由である。 …
しかし、中井久夫は必読だな。 いま、みすず書房から出ている「中井久夫集」のうち『徴候・記憶・外傷』読んでいるのだけれど、 ある書物が時を隔てて何かを見透かしたように読めてしまうということがあるんだな。 最近、取り沙 …
すべての書物は僕に読まれるのを待っているように感じられる。 それは、暑い夏の焼けたアスファルトとか冬の半分凍った洗濯物とか、そんな生活に紛れてしまう大して意味のない代物が、僕の暮らしを問いただすのと同じ重みを持っている。 …
大江健三郎が石川淳を愛読していたとは知らなかったな。 石川淳にとっての森鴎外みたいなものかしらん。 以下、大江の文章を引いてみる。 「戦後、僕は敗戦後の現実を体験し、かつ、いわゆる戦後民主主義に、もっともはっきりひ …
大江健三郎を読んでいて、ふと立ち止まることを余儀なくさせられる言葉、に出会うことがある。 その言葉、「一瞬よりはいくらか長く続く間」を、ノートの切れっぱしに書き取り、書斎の壁に貼っている。 そうして、自分が …