小林秀雄の著作の中で、何が好きかと問われれば、
私は「モーツアルト」をあげる。
「モーツアルト」は僕が小林秀雄の批評を読んだ最初の著作だからだ。
中でも、以下の部分が特に印象深かった。
「彼は悲しんではいない。ただ孤独なだけだ。孤独は、至極当たり前な、ありのままの命であり、でっち上げた孤独に伴う嘲笑や皮肉の影さえない」
「命の力には、外的偶然をやがて内的必然と感ずる能力が備わっているものだ。この思想は宗教的である。だが、空想的ではない」
「大切なのは目的地ではない。その歩き方である」