月別: 2021年4月

『転位のための十篇』火の秋の物語 ――あるユウラシヤ人に――(吉本隆明)

 詩人であり、思想家でもある吉本隆明の詩、 『転位のための十篇』の中の「火の秋の物語――あるユウラシヤ人に――」   **  この詩を読んでいつもイメージするのは「影絵」である。  影絵が小さな画面のなかで動きながら、や …

「現実は無情」?

 たとえば、全てを失ったと嘆く人が居るとしよう。  彼が現状を指して、歴史や大衆の残酷さを嘆いてみせても、「歴史」が、そのような残酷さを忘れた瞬間など、かつて一度もなかったのだと言うことを、やがて彼は思い至るだけだ。   …