ある書物(の言説)が現実の事象を言い当てている可能性について
しかし、中井久夫は必読だな。 いま、みすず書房から出ている「中井久夫集」のうち『徴候・記憶・外傷』読んでいるのだけれど、 ある書物が時を隔てて何かを見透かしたように読めてしまうということがあるんだな。 最近、取り沙 …
しかし、中井久夫は必読だな。 いま、みすず書房から出ている「中井久夫集」のうち『徴候・記憶・外傷』読んでいるのだけれど、 ある書物が時を隔てて何かを見透かしたように読めてしまうということがあるんだな。 最近、取り沙 …
すべての書物は僕に読まれるのを待っているように感じられる。 それは、暑い夏の焼けたアスファルトとか冬の半分凍った洗濯物とか、そんな生活に紛れてしまう大して意味のない代物が、僕の暮らしを問いただすのと同じ重みを持っている。 …
大江健三郎が石川淳を愛読していたとは知らなかったな。 石川淳にとっての森鴎外みたいなものかしらん。 以下、大江の文章を引いてみる。 「戦後、僕は敗戦後の現実を体験し、かつ、いわゆる戦後民主主義に、もっともはっきりひ …
大江健三郎を読んでいて、ふと立ち止まることを余儀なくさせられる言葉、に出会うことがある。 その言葉、「一瞬よりはいくらか長く続く間」を、ノートの切れっぱしに書き取り、書斎の壁に貼っている。 そうして、自分が …
2023年3月3日に大江健三郎が亡くなった。 2023年5月11日現在、確認できた各文芸誌の大江健三郎追悼号は以下。 (入手でき次第、読んでいくことにしよう。) ・「群像 2023年5月号」(講談社) …
大江健三郎が亡くなって、「読書」といえば大江健三郎の本ばかり読み、考えるようになってしまった。 より実感的な言い方で言えば、その作家の一生を通して書かれ続けた作品の熱量と物理的な量を前に茫然として途方に暮れているといった …
2月23日は、フランスの作家エミール・ゾラ(1840~1902)が、いわゆる「ゾラ裁判」で有罪判決を受けた日である。 「ゾラ裁判」は1894年の「ドレフュス事件」に端を発している。 ドレフュス事件とは、1890年代に軍 …