「思い出の珊瑚」
中井久夫の『徴候・記憶・外傷』所収「発達的記憶論−外傷性記憶の位置づけを考えつつ」エピグラフより引用。 海の神秘は浜で忘れられ、 深みの暗さは泡の中で忘れられる。 だが、思い出の珊瑚はにわかに紫の火花を放つ …
中井久夫の『徴候・記憶・外傷』所収「発達的記憶論−外傷性記憶の位置づけを考えつつ」エピグラフより引用。 海の神秘は浜で忘れられ、 深みの暗さは泡の中で忘れられる。 だが、思い出の珊瑚はにわかに紫の火花を放つ …
散文は我々を解放する。 それは詩でも、雄弁でも、音楽でもない。 中断された歩み、後戻り、 突然の強い調子が、再読と熟考を命ずることからも感じられるやうに。 散文は時間から解き放たれてをり、型どほりの議論からも自由である。 …
すべての書物は僕に読まれるのを待っているように感じられる。 それは、暑い夏の焼けたアスファルトとか冬の半分凍った洗濯物とか、そんな生活に紛れてしまう大して意味のない代物が、僕の暮らしを問いただすのと同じ重みを持っている。 …
2月23日は、フランスの作家エミール・ゾラ(1840~1902)が、いわゆる「ゾラ裁判」で有罪判決を受けた日である。 「ゾラ裁判」は1894年の「ドレフュス事件」に端を発している。 ドレフュス事件とは、1890年代に軍 …
雪が降り積もる夜を眠り続け、朝になって窓の外を見た。 どこか頼りない、弱々しい美しさが目に映った。 白く様変わりした、黒い土と、本来陰鬱な田舎の家々のその屋根。 それは、白い空を背景に持った雲のスケッチのように輪 …
休日には街の本屋に行くことも多い。 目当ての本があることもあるし、特に何も無くて暇つぶしに行くこともある。 いずれにせよ、家からほど近い本屋を何軒かハシゴするのはとても楽しい。 ちなみに昨日、久しぶりに立ち …