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書くこと、読むこと、考えること。
 
カテゴリー: 読書記録

ある書物(の言説)が現実の事象を言い当てている可能性について

 しかし、中井久夫は必読だな。 いま、みすず書房から出ている「中井久夫集」のうち『徴候・記憶・外傷』読んでいるのだけれど、  ある書物が時を隔てて何かを見透かしたように読めてしまうということがあるんだな。  最近、取り沙 …

「一瞬よりはいくらか長く続く間」について、大江健三郎

  大江健三郎を読んでいて、ふと立ち止まることを余儀なくさせられる言葉、に出会うことがある。 その言葉、「一瞬よりはいくらか長く続く間」を、ノートの切れっぱしに書き取り、書斎の壁に貼っている。 そうして、自分が …

飯島耕一「ゴヤのファースト・ネームは」

   飯島耕一は、1953年、第一詩集『他人の空』を刊行し、戦後世代の叙情性をうたう詩人として世に出た。これは戦後詩の象徴的な作品とも言われる。  その後も詩作のほか評論や小説など幅広く執筆活動を行った。    飯島は鬱 …

永井荷風と石川淳

 この記事は多分、一冊の本についてその感想を書いたり、況してや書評を書いたりするような意味での「レヴュー」にはならないと思う。  私は、最近、石川淳の「焼跡のイエス」「処女懐胎」などの短編をいくつか読んだ。  (なぜそれ …