願うように書きたい。祈るように読みたいー。
 
W/R -書くこと/読むこと-

diary


2022.3.2

石川淳の古い全集を手に入れたので少しずつ読み始める。

「普賢」、「佳人」、「マルスの歌」などなど。

 

2022.2.28

 森鷗外と大逆について興味を持っている。三宅雪嶺の鴎外批判「二つの調和せざる頭脳」とは。

 そして、ツイッターで知ったのだが、幸徳秋水からクロポトキンへの書簡9通が発見されたそうである。

「麺麭の略取」(岩波文庫)という本が何かの参考になるかもしれない。

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 さて、森鴎外の推挙で三田文学の初代編集長となった永井荷風。

 永井荷風の「花火」は荷風が「政治」から距離を置くようになった経緯を描いたとされる作品だが、その際によく引用されるのは以下の一節である。

「明治四十四年慶應義塾に通勤する頃、わたしはその道すがら折々市ヶ谷の通で囚人馬車が五六台も引続いて日比谷の裁判所の方へ走つて行くのを見た。わたしはこれ迄見聞した世上の事件の中で、この折程云ふに云はれない厭な心持のした事はなかつた。わたしは文学者たる以上この思想問題について黙してゐてはならない。

「小説家ゾラはドレフュース事件について正義を叫んだ為め国外に亡命したではないか。然しわたしは世の文学者と共に何も言はなかつた。私は何となく良心の苦痛に堪へられぬやうな気がした。わたしは自ら文学者たる事について甚しき羞恥を感じた。以来わたしは自分の芸術の品位を江戸戯作者のなした程度まで引下げるに如くはないと思案した。
「その頃からわたしは煙草入をさげ浮世絵を集め三味線をひきはじめた。わたしは江戸末代の戯作者や浮世絵師が浦賀へ黒船が来ようが桜田御門で大老が暗殺されようがそんな事は下民の与り知つた事ではない—否とやかく申すのは却て畏多い事だと、すまして春本や春画をかいてゐた其の瞬間の胸中をば呆れるよりは寧ろ尊敬しようと思立つたのである」

 

2022.2.25

 2022年2月24日、ロシアがウクライナに侵攻。日本政府は「ロシアによるウクライナ侵略」と表記。

ロシア政府は「特別軍事作戦」と呼称している。

 

2022.2.24

 今日はアメリカ出身の学者、ドナルド・キーンの命日。

 近松門左衛門などの古典から現代文学まで幅広く研究した日本文学者で、三島由紀夫、安部公房、司馬遼太郎など日本を代表する作家たちとの交友もあった。

 ドナルド・キーンの、日本の文豪たちとの交友などを綴ったものはどれもとても興味深いが、中でも中公文庫から出ていた「私の大事な場所」という本がある。その中にキーンが、永井荷風に初めて対面した際の文章が個人的にとても好きなので引用しておく。

日本にいる外国人は日本人が自分たちをあまり家に招かないとよく言う。私は幸運にも多くの作家から自宅へ招かれた。一番忘れ難いのは、永井荷風の家だ。(中央公論の)嶋中さんが荷風に会う時に私を同伴したのである。市川に向かい、狭まった道路を歩くと表札もなく目立たないお宅に着く。私たちは女中らしい人に案内されて中へ通された。日本人はよく「家は汚いですが」と謙遜しても実は大変清潔であるが、荷風の部屋は腰を下ろすと埃が舞い立った。荷風は間もなく現れたが、前歯は抜け、ズボンのボタンも外れたままの薄汚い老人そのものだった。ところが話し出した日本語の美しさは驚嘆するほどで、感激の余り家の汚さなど忘れてしまった。こんな綺麗な日本語を話せたらどれほど仕合わせだろうと思った。(ドナルド・キーン「私の大事な場所」)

 

 とりあえず、「ドナルド・キーン自伝 」を読みたいなぁ。

 

2022.2.23

古井由吉「先導獣の話」読了。

 僕たちがしばしば「狂気」と呼ぶのは、認識の裂け目に生まれた特殊な想像力のことか。

群衆(群集)の中に秘められた殺到の秩序がいつか崩れる時を夢想する主人公。

彼が駅の群衆から主人公が喚起するイメージは水である。

「フロアーにまんべんなく流れ広がって、人を押し退けようとするでもなく、無理に追い抜こうとするでもなく、群のテンポにぴったりと足並みを合わせ、それでいて密集のふとゆるんだところがあれば、すぐに間隙を満たしに行く。そしてやがて階段にさしかかると、流れは静かに淀み、先のほうからゆっくりと傾いていく。まるで苔むした岩の上を平たく滑り落ちる音なしの滝のように」

 水は形を持たないものだ。どんな形の容器にも収まる。

 静かに形を変えうるものとしての群集は何によって動くのだろうか。ふとしたことでパニックを起こす恐れはないのだろうか。

 あるいはその「きっかけ」によって走り出した群集を先導する者とは何者だろうか。

 

2022.2.15

短編小説のアンソロジー「小説の惑星」(ちくま文庫 伊坂幸太郎・編)を買った。

青い装丁のノーザンブルーベリー編と赤い装丁のオーシャンラズベリー編の二冊が在ったので両方購入。

「先導獣の話」(古井由吉)とか、「人間の羊」(大江健三郎)が読めるのが嬉しい。

 
2022.2.14

石川淳の短編「明月珠」についての感想を本ブログに書きました。

 
2022.2.10

「三田文学」のバックナンバーが届いたので読んでいる。

特集は「永井荷風と慶應義塾」である。

「そして武器を捨て、愛し合え、人間よ」(未延芳晴)をもっとも興味深く読んだ。

 
2022.2.4

「理由」は根で「現象」は花だ。

 創作物が「花」なら、その「根」は何だね?

 

2021.10.25

 10月4日、憩室炎が再発し入院した。

そもそも腹部の張りが前々日(2日)あたりからあったのだが、

それが翌日(3日)になってもひかず、むしろそこに痛みが加わってしまった。

さらにその翌日(4日)には発熱してしまい、病院を受診したら、入院となった。

それから、数日間は絶食となりベッドに横たわり点滴を眺めて過ごした。

退院できたのは、11日だった。

 

2021.9.29

文學界新人賞への応募期限が近い。

書きたいことはたくさんある気がするが、

それら複数の「書きたいこと」の塊を、一個の作品のなかに有機的に存在させ得るかが問題だ。