飯島耕一「ゴヤのファースト・ネームは」
飯島耕一は、1953年、第一詩集『他人の空』を刊行し、戦後世代の叙情性をうたう詩人として世に出た。これは戦後詩の象徴的な作品とも言われる。 その後も詩作のほか評論や小説など幅広く執筆活動を行った。 飯島は鬱 …
飯島耕一は、1953年、第一詩集『他人の空』を刊行し、戦後世代の叙情性をうたう詩人として世に出た。これは戦後詩の象徴的な作品とも言われる。 その後も詩作のほか評論や小説など幅広く執筆活動を行った。 飯島は鬱 …
雪が降り積もる夜を眠り続け、朝になって窓の外を見た。 どこか頼りない、弱々しい美しさが目に映った。 白く様変わりした、黒い土と、本来陰鬱な田舎の家々のその屋根。 それは、白い空を背景に持った雲のスケッチのように輪 …
「茶番・取るに足らない詳細・無名性・栄誉無き日常・共同生活といった、これらすべてのことが、言われうるし、言われなければならず、望むらくは書かれうるし、書かれなければならない。(中略)誕生したのは、従って、言述の広大な可能 …
蒼き夏の夜や、 麦の香に酔ひ野草をふみて 小みちを行かば、 心はゆめみ、我足さわやかに わがあらはなる額、 吹く風に浴みすべし。 われ語らず、われ思はず、 われただ限りなき愛、 魂の底に湧出るを覚ゆべし。 宿なき人の如く …